こんにちは。
シャン州インレー湖を拠点に活動している少し変わった旅行会社、HOME Myanmarです。
前回に引き続き、私たちがカフェの運営を通して挑戦していること、について書いていきたいと思います。
その①は、こちらから
私たちがカフェの運営を通して挑戦していること ~その①~
改めて、私たちのしている挑戦は以下の3つです。
目次
私たちの挑戦
1) オーガニック産品を使用すること
2) コーヒー農家の人を雇用すること
3) “低コスト高付加価値”の成功モデルとなること
今回は、②の「コーヒー農家の人を雇用すること」について
書いていきたいと思います。
誰と届けたいか
これが、スタッフみんなで一番話し合ったポイントです。
みんなと言っても、その頃は私含め4人しかいませんでしたが。。
誰に何を届けたいか。
外国人旅行客に美味しいコーヒーとリラックスできる時間を届けたい。
ミャンマー人、地元に人にも美味しいコーヒーとコーヒーの愉しさを届けたい。
これが、私たちが届けたい対象と届けたいもののベースにあるものです。
では、そんなコーヒーや時間、場所を誰と一緒に届けたいか。誰と働きたいか。
私たちは話し合いました。
トリクルダウンかボトムアップか
この表現が正しい表現かはわかりません。
誰と一緒に届けたいかを考えたとき、2つの対象をイメージして話し合いました。
①ニャウンシュエかタウンジーなど町出身の人。大学を卒業しているが仕事がない人。
②村出身の人。学歴はわからないが、仕事がない人。家の仕事(農作業、家事)の手伝いはある。
それぞれに、メリットデメリットがあると考えました。
覚えが早いんじゃないか。
我慢強くないんじゃないか。
寮(住居)も提供しなくてはならないんじゃないか。
衛生観念が心配ではないか。
などなど。
これらはすべて、私たちにとってのメリットデメリットです。
でも私たちは、雇用関係、雇う側と雇われる側という立場に置いて、
その関係性は常にフェアであり、平等であるべきだと考えています。
ですので、①と②、両者にとってのメリットデメリットも考えました。
大学卒業してるのに仕事がないことって大変だよね。
村に仕事があるなら、それでいいのではないか。
いやいや、そもそも町出身の人はたくさんのチャンスがあるのに掴もうとしていない、放さない努力をしていないじゃないか。
村出身の子たちにはチャンスが少ないのではないか。
どんぐりの背比べと言われてしまえば、そうなのかもしれませんが
ミャンマーの南シャン州という狭い世界で見ても、
経済的に裕福な層と経済的には決して恵まれてはいない層とが存在しています。
そして、その両者の間には、チャンスが平等にあるわけではありません。
町出身の人と、村出身の人。
私たち、いや正確にはHOME Myanmarの3人のスタッフが選んだのは、村出身の人と働くことでした。
コーヒー栽培のプロフェッショナルに、村ではできない経験を
村出身の人たちと働きたい。
そう決まった後は、ではどこの村の人と?という話しになります。
HOME Myanmarはツアーでいろんな村に行っており繋がりもあるので、いろんな村が候補となりました。
でも、せっかくカフェで村の人を採用するなら、すでにコーヒーツアーで訪問しているユワンガンというエリアの村の、コーヒー農家の人がいいんじゃないか、という話しになり
ニャウンシュエから車で2時間半のユワンガンまで、採用の旅へ出かけました。
2019年6月のことです。
うちの採用の旅は、少し変わってて面白いので、それらはまた別記事でいつか書いてもいいですね。
さて、2回の採用の旅を終えて、2人のスタッフを採用しました。
2人ともコーヒー農家の娘さんで、小さい頃から家のお手伝いをしてきているので、コーヒーを育てることに関してはプロ中のプロ。
彼女たちに染み込んでいる知識は、インターネットの記事を読んで覚えたような薄っぺらい知識ではなく、現場仕込みの、経験に裏打ちされた知識です。
ミャンマーでもアラビカ種のコーヒーの産地として有名なユワンガンは
肥沃で広大な土地に恵まれ、農業もとても盛んなエリアです。
村にいれば、それはそれで食べていくことはできるし、やること(農作業)もある。
そんな彼女たちがわざわざ村を出て、働く意味とは。
意味付けというのは、人それぞれで、好きなだけ意味付けすればいいのですが
私たちが考えるその意味は大きく1つ、<村ではできない経験ができる>ということです。
語学学習の機会が恵まれていることだったり
サービス、ホスピタリティが学べることだったり
マーケティングが学べることだったり
会社という組織で働くことだったり
たくさんあると思います。
ミャンマーに限ったことではないですが、その国の母国語が世界的に見て、話者数、学習者数が少ない国においては、英語や外国語が扱えるか否かはとても重要なことです。
現状を打破していくための、わかりすい武器になります。
母国語で様々な情報にアクセスできる日本人は、本当に恵まれています。
ということで、いまカフェのスタッフは、空いた時間に英語の勉強をしたり
朝日本語クラスに通ったりしつつ、日々お客様と実践をしています。
実践はまだまだハードルが高いですが、世界中から訪れるお客様と接することで、少しずつ慣れていっていることと思います。
また、村でできない経験をしてもらうため、毎月1回夕食会をしています。
普段自分のお金では絶対食べないようなもの、ピザを食べたり、お洒落なカクテルを飲んでみたり
外国人観光客に人気のレストランに行ってみたり。
まだまだ希望溢れる子たちに、新しい世界を見てほしい、様々な経験をしてほしい。
そう思っています。
想い描く未来
コーヒー農家の子たちを採用すること。
その先に想い描く未来とは。
日々、一緒に暮らし歩んでいると、我が子を見るような気持ちになってしまうので
笑顔で元気に暮らしてくれたらそれでいいよ、と思ってしまいますが
想い描く未来が2つあります。
① ミャンマーにおいて農業が六次産業化していく未来
② ユワンガンが観光で盛んになる未来
どちらも、望ましいことなのか、そうでないのかはわかりませんが
実現可能性のありえる未来だと思います。
農家さんが、ただの農作物を育てるだけでなく、加工・販売までこなす未来が来るかもしれません。
ユワンガンが観光地として有名になり、多くの人が訪れる場所になるかもしれません。
そんなとき、Harvest Cafe出身のスタッフが大活躍できるようになっていたら
とても嬉しいと思っています。
そのためには、様々な情報にアクセスできる語学力が必要かもしれません。
コーヒーの栽培だけでなく、エンドユーザーの嗜好を知っておくことも必要かもしれません。
コーヒーの産地として有名な場所では、必ずと言っていいほど、お洒落なカフェなどが存在しています。コーヒーツアーもいろんなところで見かけます。
コーヒー × ツーリズムの相性は、とてもいいものです。
Harvest Cafeが、いつかユワンガンブランチを出すのかもしれません。
どこか大きな資本を持った人が、カフェを作るかもしれません。
私たちは農業のプロフェッショナルではありませんが、観光業という領域においてはある程度のノウハウを持っている自負はあります。
できること、できないことはありますが、私たちができることで彼女たちの明るい未来に貢献していけたらと考えています。
そんなことを想いながら、コーヒー農家の子を採用し、一緒に美味しいコーヒーと素敵な時間、空間を届けています。
さて次回は、③の「“低コスト高付加価値”の成功モデルとなること」について書きたいと思います。
それでは