こんにちは。
シャン州インレー湖を拠点に活動している少し変わった旅行会社、HOME Myanmarです。
前回に引き続き、私たちがカフェの運営を通して挑戦していること、について書いていきたいと思います。
その①、その②は、こちらから
私たちがカフェの運営を通して挑戦していること ~その①~
私たちがカフェの運営を通して挑戦していること ~その②~
改めて、私たちのしている挑戦は以下の3つです。
目次
私たちの挑戦
1) オーガニック産品を使用すること
2) コーヒー農家の人を雇用すること
3) “低コスト高付加価値”の成功モデルとなること
今回は、③の「“低コスト高付加価値”の成功モデルとなること」について
書いていきたいと思います。
ニャウンシュエで事業をする中で見えてきたもの
HOME Myanmarは、2017年8月からシャン州ニャウンシュエにて事業をスタートしました。
旅行を作る仕事がメインではありますが、観光業が盛んな田舎町に暮らす中で、地元の人が抱える課題などが見えてきました。
それは、必要な場所に必要な投資ができないことです。
小さな田舎町でも、土地を持っている人や家族に稼ぎ頭がいて(出稼ぎに行っている場合もある)
ある程度金銭的に余裕がある人たちもいます。
コツコツとお金を貯めて、さて自分でビジネスを始めるぞ!という人もいます。
それでも、マーケット感覚や知識が不足していることから
せっかくのお金を不要なところにつぎ込んで、結局1年足らずで事業が続かなくなってしまうこともあります。
カフェに置き換えるとどうでしょうか。
ニャウンシュエは、観光業が盛んと言っても、世界的な観光地と比べたら来訪者数は圧倒的に少なく、そもそもの人口も1万5千人程度です。
年中観光客が街を歩き回っているわけでもなく、地元の人の所得水準、外食に費やすお金の単価も低いです。
そんなニャウンシュエで、常に客足が途絶えることのないカフェと同じ設備が必要でしょうか。
必要な場所に、必要な投資を
資金が潤沢にある大企業、スタートアップであれば、長期的なマーケットシェア獲得のために
攻めの投資ができると思いますが
我々のようなスモールビジネスにおいては、どれだけ費用を抑えるかということが、どれだけ売り上げを作れるか以上に大切です。
人件費や賃料の低いミャンマーの地方においては、特に設備投資などの初期投資をどれだけ抑えれるかがより重要に感じます。
エスプレッソマシンやグラインダーの値段はピンキリです。
リースのサービスもありますが、まだあまりメジャーではありません。
例えば、一日10杯程度しかコーヒーが出ないであろうレストランに
100万くらいのエスプレッソマシーンが必要でしょうか?
20万くらいのグラインダーが必要でしょうか?
もっともっと高いエスプレッソマシーンもあります。
この街のマーケット規模は、まだまだそんな段階ではありません。
極端な話、300万円するエスプレッソマシンを用意しても、実際に使用する人がコーヒーの味をわかっていなかったら、レシピの再現率が低かったら、豆が新鮮ではなかったら美味しいコーヒーは提供できないと思っています。
実際この街でも、Harvest Cafeよりも高価なマシンを使用しているレストランはたくさんありますが
美味しいと感じるコーヒーを提供しているところはほとんどありません。
100万、300万するエスプレッソマシンを用意する資金があるのであれば、求められているサービスを提供できる人材、または求められているサービスを提供できる人材を育てることにお金をかけるべきなのです。
コーヒー屋としてこんなことを言ってしまうと、美味しいコーヒーを提供することに全力を注いでいない、と思われるかもしれませんが
Harvest Cafeではaillioという台湾製の焙煎機を使用し、週2,3回小ロットで焙煎をしてなるべく新鮮なコーヒーを愉しんでいただけるようにしています。
いい豆を仕入れ、自家焙煎し新鮮な状態で提供することに全力を注いでいます。
限りある資金の中で、力を注ぐポイントを考えている、という話です。
不要な部分にコストをかけ、そのコストを回収することすらできないまま事業を終わらせなければいけなくなってしまうケースを目にし、とても勿体ないと感じていました。
そこにあるもので、よりよいものを作る
外国人だから、お金があるから、起業や開業ができると考えている人がいます。
たしかにそういった面が有利に働くことは間違いありません。
でも、絶対に必要な条件でしょうか。
私たちの挑戦していること~その①~にも書きましたが、我々は地産地消をテーマとし、なるべくシャン州で採れるものを使い、コーヒーもデザートも提供しています。
オーガニックのものに関しては、入手が難しかったりしますが、基本的にはすべてこの小さい町で揃ってしまいます。
つまり何が言いたいかというと、
私たちがいま提供しているサービスは、誰にでも提供できることなのです。
仮に、うちのスタッフが故郷の村に帰ったとしても、オーブンさえあれば、ミャンマーで一番美味しいバナナケーキとクリームブリュレが作れると思っています。
ドリップコーヒーであれば、停電してても提供できます。
もちろん、ただコーヒーやクリームブリュレを作るだけでなく、それが美味しくて、安定的に供給できないと意味がないのですが、やっていること自体は、誰にでもできることなのです。
ローリスクローリターンなので、大きく儲かることはないかもしれませんが
スモールビジネスとして起業、開業できるチャンスがあるんだ!
ミャンマーやシャン州にあるもの、採れるものでこんなに美味しいものが作れるんだ!
と、知ってほしいと思っています。
大切なことはとてもシンプルなこと。
そこにあるもので、よりよいものを作る。
これって、ツアー作りや組織づくりにも共通する気がしますね。
いま流行りの、デザイン思考というやつでしょうか。
とてもシンプルなんだけど、一番難しいこと。
想い描く未来
ニャウンシュエは、まだまだこれからの街。
インレー湖に来ても、通過するだけの観光客も多いです。
この町に泊まりたい。
この町を歩きたい。
そう思ってもらえるように、小さな世界でお客様を奪い合うのではなく、もっと町全体として盛り上がっていきたいです。
そして、外国資本やチェーン店で溢れる味気ない町ではなく
地元の人が経営する味のある個人店がたくさんある町、唯一無二の町になってほしいと思っています。
そのためにも、まずは、自分たち自身が“低コスト高付加価値”の成功モデルとならなければいけません。
そして共通点も多い、レストランやホテルなどにノウハウを提供することができたらと思っています。
まだまだノウハウを提供、発信する段階ではないのですが、その準備は少しずつやっていかないとです。
将来事業にチャレンジする人たち、さらには町全体のことを勝手に妄想しながら、カフェを運営しています。
さて、3回に渡って <私たちがカフェの運営を通して挑戦していること> について書いていきました。
なんだかいろいろ考えていて面倒くさいカフェだな、と思われるかもしれませんが
ぜひ素敵な未来を一緒に想像しながら、Harvest Cafeのコーヒーを飲んでいただけたら嬉しいです。
それでは